団体信用生命保険(団信)とは

団体信用生命保険は、(団信(だんしん)とも言われています)死亡や高度障害など一定の状況になってしまった場合に保険が適用され、保険金でローンは完済となります。

団体信用生命保険(団信)に加入している住宅ローンの債務者が死亡すると、残りの住宅ローンは保険金で完済となり、遺された家族はローンを支払う必要はありません。高度障害についても同様です。

団体信用生命保険(団信)が適用となる高度障害とは

団体信用生命保険が適用となるものに死亡と高度障害があります。死亡はもちろん分かると思いますが、高度障害とはどのような状況をいうのでしょうか?

高度障害とは

  1. 両目の視力を全く永久に失ったもの
  2. 言語または咀嚼(そしゃく)の機能を永久に失ったもの
  3. 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  4. 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  5. 両上肢とも、手間接以上で失ったか 又はその用を全く永久に失ったもの
  6. 両下肢とも、足間接以上で失ったか 又はその用を全く永久に失ったもの
  7. 1上肢を手間接以上で失い、かつ、1下肢を足間接以上で失ったか 又はその用を全く永久に失ったもの
  8. 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足間接以上で失ったもの

が高度障害となります。

上記のそれぞれの内容については、別途詳細をこちらのページに記入しておきます。

(内容が異なる場合もあるので、ご自身で住宅ローンを契約する際に、必ず内容を確認してください。)

団体信用生命保険が使えない状況とは

これは、私が銀行員時代のことですが、ある顧客の奥様が来店され相談を受けました。

住宅ローンを組んだ時に加入した保険を利用したいとのことでした。話を聞いてみると、

1ヶ月ほど前に主人が突然倒れ、今も入院中で会社に行けず仕事ができないので当面は収入が途絶え、治療費はかかる、子供は2人いて上の子は高校生になったばかり下の子も中学生で、これからなにかとお金がかかるし・・・これから将来が心配で・・・

ご主人が脳卒中で倒れたとのことでした。幸い命に別状はなかったものの体の一部に障害が残って以前のようには自由には動けないだろう・・・しばらくは会社を休んで、様子を見てリハビリをする必要があるとのことでした。

奥様は目に涙を浮かべ、ハンカチを握り締めながら、いろいろ話をしてくれました。辛い思いは誰にも言えず、ずっと我慢していたのでしょう・・・

主人が倒れたのは7月の梅雨明け急に暑くなってきた頃のことです。夏休みの直前だったため家族旅行で、宮古島(沖縄の離島)に行く予定でした。主人が決めた旅行プランでした。普段から仕事が忙しく、部下もたくさん抱えて責任感が強くて、なかなか休暇が取りづらかったけどその甲斐があって、業績がアップしたので社長から休暇のご褒美をもらったのでした。

奥様の話は続きます・・・

主人は、あまり家族サービスもできてなかったことと、自分ものんびりリラックスしたいとも思っていたので、思い切っての10日間の家族旅行の旅行計画を立てていたのでした。『やっとゆっくり休める、今までゆっくりできなかった分を取り戻す』って笑いながら話していました。

子供達もはじめての沖縄(宮古島)の旅行に楽しみにしていました。インターネットで調べたり、最近ではYouTubeでアップしている人もいるので動画を調べたり、夏休みの自由研究に何かできないか・・・

など色々家族で盛り上がっていたとのことでした。

でも、仕事中に会社で突然倒れ、救急車で近くの病院運ばれたと社長からの連絡をもらったのです。夫は朝から『少ししんどいな、急に暑くなったからかな・・・』と言っていて、私は「少し休んでから行ったら?」と行ったのですが、『もうすぐ休暇がもらえるから、がんばる』と言って出て行ったのす・・・それなのに・・・

こういったことは、誰も予想がつきません・・・突然起きるものですし、誰のせいでもありません。

奥様の顔は少し青白く、体全体に疲れが感じられて、なんとなく力もない様子です。着ていた赤いTシャツも少しヨレた風にみえました。でも一通り話すと少し落ち着いたようでした。主婦として普段は家にいて、家庭の事情まで話せる人がいないのでしょう。

旅行はキャンセルになり、きっと2人の子供達もショックを受けているに違いありません。これからお父さんはどうなるのか・・・そして自分たちは・・・と

私は、団信の手続きのため所定の用紙を渡し、なるべく早く診断書と一緒に提出してもらうように伝えました。

奥様から書類をいただき書類を担当部署にその日に急いで送付しました。少しでも早く見てもらえるように・・・

しかし保険会社からの診断結果は、団体信用生命保険の対象外でした。つまり保険は下りることはありませんでした。

上の8つの高度障害条件のうち、ご主人の状況はどれにも該当しないということで、保険は下りずこのまま住宅ローンの支払いを続けて行かざるを得ないのでした。

治療のため仕事を休んでしまうので、生活費や治療費がかさむし、ローンを支払わないと家を失ってしまうことにもなりかねません。

さいわい、住宅ローンを組む前から加入していた通常の生命保険や会社の方の対応などで、今はとりあえず、なんとかやっていけるようでした。

住宅ローンでは生命保険のこともしっかり考える

最近では、一般的な団体信用生命保険だけでなく、ガン保険、3大疾病、8大疾病などさまざまな病気に対応したものも出てきています。途中で保険の変更はできないので、現在加入している一般の生命保険を確認して、どれにするのかしっかり考えて加入しましょう。

ちなみに8大疾病は、ガン(上皮内ガンを除く)・急性心筋梗塞・脳卒中・高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎(すい炎)をいいます。

保険が充実する分、金利が高くなったりすることもありますが、他に保険が掛かっていなくて、預貯金が少なく、子供がいる、自分に何かあったら家庭が苦しむような状況であれば、より充実した保険の加入の検討をお勧めします。

住宅ローンがある間は、自分に何かあって返済ができなくなると家に住めなくなってしまうこともあり得るのです。

家を守るという事は、健康である事はもちろん。自分に何かあってもバックアップがある状態を言うのだと思います。

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