団体信用生命保険「告知あり」なら医師の診断が必要なこともあります

団体信用生命保険(団信)が通らない人のための住宅ローンの組み方とは

一般的な住宅ローンは、団体信用生命保険の加入が必須となっています。通常の流れでは、事前審査が通って、正式申込(本審査時)に住宅ローンの申込用紙と一緒に団体信用生命保険の説明を受け書類を記入します。

住宅ローンの本審査と団体信用生命保険を両方がOKとなる必要があります。どちらか片方だけOKとなっても住宅ローンを借入することはできません。

保険加入に際して、「告知事項あり」の場合は、別途診断書などを提出して保険会社に詳しく判断してもらう方法もあります。無理をして「告知事項なし」など虚偽の記載をした場合、実際に保険が下りないこともあるので注意が必要です。決して虚偽記載をしないようにして下さい。自分が亡くなった後、保険が下りなければ家族に住宅ローンのの負債を残してしまう事になります。
(相続はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金)も相続する事になります)

団体信用生命保険の概要

団体信用生命保険(略して団信とも言われます)とは、住宅ローンの契約者が死亡・高度障害になったときに、保険金で住宅ローンが完済できる保険となっています。万が一のときに住宅ローンだけが残ってしまい返済が困難にならないような仕組みとなっているものです。

団体信用生命保険の種類

スタンダードな団体信用生命保険は死亡・高度障害対応のみとなっています。最近では「リビングニーズ特約」といって死亡前の余命○ヶ月と診断された時点で保険が下りるものもがあります。

他には、「8大疾病特約」「ガン特約」など団体信用生命保険に特約がついているものもあります。各金融機関によって異なりますが特約が付加される分、保険料相当分として住宅ローンの金利が上乗せされる様になっています(保障内容が大きいほど金利が上乗せされる)

加入ができなかった場合どうなるのか?

住宅ローンの契約で団体信用生命保険に加入出来なかったらどうなるのでしょうか?
融資実行条件として団体信用生命保険の加入が認められない場合、住宅ローンの契約と不動産の契約についてそれぞれ書きます。

住宅ローンの契約について

住宅ローンの契約については、団体信用生命保険の加入が必須となっている以上、加入ができない場合は住宅ローンを取り組むことができません。
住宅ローンの返済能力や担保状況に問題がなくても、残念ながら否決となります。融資実行ができなければローン取り扱い手数料や保証会社へ支払う保証料はかからないのが一般的です。

不動産の契約

住宅ローンを取り組むことが出来なければ、借入をして不動産を購入することはできなくなります。つまり、契約自体が白紙撤回にならない限り現金で購入するか、手付金を放棄して契約を取り消すしか方法がありません。

しかし不動産の契約の際に、「停止条件付き」の売買契約(ローン特約付)としているのであれば、住宅ローンの審査が通らなければ契約が白紙撤回となります。つまり、契約を交わしていてもローンが通らなければ契約は有効とならず支払っていた手付金も返ってくることになります。

不動産が買えないことは残念ですが、手付金も戻ってくるので契約前の状態に戻すことができます。(住宅ローンで不動産を購入する予定である場合はこの特約を交わすことが一般的です。)

実際、私が金融機関に在籍していた時に、ある病気で団信の加入が認められずローンが組めず自宅を手にする事ができなかった例が数件ありました。「家が買えないのか・・・」とご本人にとってつらい結果になりました。

もうそれも十年以上昔の話です。加入出来ないとされている症状の人でも加入できる団体信用生命保険が出ています。まだ取り扱いをしている金融機関は少ないのですが、住宅ローンが組めなくて住宅が買えないと思っていた人には朗報です。

持病があっても加入できる引き受け緩和型団体信用生命保険(団信)とは

今まで加入出来なかったために住宅ローンが組めなかった人にとっては、ローンが組める可能性があります。つまり住宅を買う事ができる可能性があるという事です。自分の健康上の問題で住宅が買えず家族に負い目を感じていたことも解消することができるかも知れません。

例えば、症例としては高血圧症、糖尿病、肝機能障害といった持病がある人も加入できる可能性があります。注意点としては、必ず加入ができるわけではありません。病状の程度によっても異なるかも知れません。

引き受け緩和型団体信用生命保険の取扱金融機関はどこ?

このタイプの団体信用生命保険は新しいもので、まだ一部の金融機関でしか取り扱いがありません。

地方銀行やその他金融機関など調べてみると出てるかも知れませんが、この保険の取り扱いがあって、実店舗があり、対応できるエリアが広い所の一例として、イオン銀行を参考に上げてみたいと思います。

ワイド団信付住宅ローン
(健康に不安のある方のための住宅ローン保障)

イオン銀行の住宅ローンで「ワイド団信付住宅ローン」という商品があります。引き受けの可能性がある症例を下記に挙げておきます。

カテゴリー症例
代謝異常による病気糖尿病、脂質異常症(高脂血症・高コレステロール血症)、高尿酸血症・痛風など
心臓・血圧の病気狭心症、心筋梗塞、不整脈、心房細動、期外収縮、心臓弁膜症、高血圧症、血栓性静脈炎(静脈血栓症)など
脳の病気脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、脳動脈瘤、てんかん、ギランバレー症候群など
精神・神経の病気うつ病、自律神経失調症、適応障害、不安障害、神経症、パニック障害、不眠症など
食道・胃・腸の病気潰瘍性大腸炎、クローン病、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸ポリープなど
肝臓・胆道・膵臓の病気肝炎・ウイルス肝炎(B型肝炎・C型肝炎)、肝機能障害、脂肪肝、胆石、胆嚢ポリープなど
呼吸器(胸部)の病気喘息、気管支炎、肺炎、肺血栓塞栓症、結核、睡眠時無呼吸症候群など
目・耳・鼻の病気緑内障、白内障、網膜剥離、難聴、副鼻腔炎など
ホルモン・免疫異常による病気バセドウ病(甲状腺機能亢進症)、甲状腺機能低下症、関節リウマチ、橋本病、全身性エリテマトーデスなど
血液・造血器の病気・異常貧血、赤血球・白血球の数値異常など
妊娠・女性特有の病気妊娠、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮頸部異形成、子宮内膜炎など
ワイド団信でお引き受けの可能性のある主な症例 イオン銀行より (上記は記事作成時点の情報です。詳細は公式ページで確認してください)

注意点

  • 病名だけで判断されるものではありませんので、上記の病状であっても加入できない場合もあります。
  • 口頭などで病名確認のみでの加入可否の照会はできません。必ず申込書兼告知書を提出のうえ審査してもらう必要があります。
  • 住宅ローンの金利に+0.3%上乗せされます。

今まで住宅ローンが組めなかった人にとっては、可能性があるので是非検討したいものです。
地元の金融機関でも似たような団体信用生命保険があるかも知れません。保障内容・住宅ローンの融資条件を併せて確認してみてください。

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