住宅ローンの返済日は確実に守って返済をしましょう。
できれば、返済日の前日までに返済口座に入金しておきたいものです。
突然の用事や病気やケガで思わぬ急な出来事で入金ができなくなってしまうこともあるかもしれません。しかし残念ながらなんらかの事情でも言い訳することは認められません。
返済の遅れは言い訳できない
いかなる事情があっても、滞納してしまうことはよくありません。
金銭消費貸借契約上の約束事
住宅ローンを組むときに銀行で契約をします。その際に毎月返済額、返済日、金利など詳細に契約書で交わしています。その約束は必ず守らないといけません。仕事が忙しくて入金できなかったとか、体調不良で入金ができなかったというのも認められません。なぜなら期日に入金をすることではなく、「期日までに」口座に入金しておく必要があるからなのです。家族に入金をしておいてもらうこともできますし、インターネットなどで振込をすることもできるでしょう。返済をする必要があることが分かっているのにできないということは約束を守れていないという事になります。
民法419条3項
金銭債務の不履行については、天災等の不可抗力すら抗弁とすることができず、債務者は絶対的責任を負う。
と法律でも規定されています。つまりいかなる事情があっても返済が遅れることは言い訳できないということです。
それでも延滞したら・・・
なんらかの事情で、延滞してしまうと、年利14%(銀行によって異なる)の延滞利息(遅延損害金)がペナルティーとしてかかります。延滞が続くと郵便や電話で督促が来るようになります。
それでも返済ができず、何ヶ月も滞納してしまうと、配達証明付き内容証明郵便で「期限の利益の喪失通知」が届きます。
内容は、定められた期日までに返済がないと期限の利益を失い保証会社から代位弁済を受け、求償権が保証会社に移る旨が書かれています。
期限の利益とは
期限の利益とは、住宅ローンの融資を受ける際に契約書(金銭消費貸借契約証書)を交わしていますが、そこには定められた期間に分割して一定の金額を月々支払う契約になっています。
この契約があるため「今すぐ残りの金額を全額すぐに支払ってください」と言われても、「契約があるので毎月○日に○○円支払います」と言え、約束があるので無理な請求をされなくて済むのです。これを『期限の利益』と言います。
期限の利益の喪失とは
しかし、延滞や破産などにより、この「期限の利益」を失うことがあった場合には、請求されれば全額返済する必要があります。ローンの滞納、差押えなど期限の利益の喪失事項が契約書に記載されています。
月々の返済が返済が難しいなかで、一括返済の請求をされてもきっと支払いをすることはできないでしょう。指定された期日までに支払いできなければ、銀行は保証会社から代位弁済を受けることになります。
代位弁済とは
保証会社は銀行からの請求により、支払いできなかった借主に代わって(代位して)、弁済することになります。保証会社は借主から保証料を受け取り、銀行に対して保証していますので、保証人の立場として残金を支払い(弁済)をするのです。
求償権とは
銀行に対して住宅ローンの残金を一括弁済した保証会社には、求償権といって借主に請求する権利を取得します。
つまり、「あなたが銀行に支払うべき負債を、代わりに支払ったのだからその分こちらへ返済してください」と保証会社が請求する権利です。
これまで月々の支払いができなかったわけですから、この時点でも一般的には一括で返済できることはないでしょう。保証会社が納得する形で分割返済ができればいいですが、多分難しいでしょう。
求償権を取得した保証会社は、当初から保証委託契約により抵当権(自宅が担保)を持っていますので、支払いができなければ自宅を競売にかけて、売却代金で返済資金へ充当します。
または、競売となると安く売られてしまうので、自分で買ってくれる人を見つけるか、不動産屋に行って購入者を紹介してもらう場合もあります。これを任意売却と言います。
一般的には、任意売却の方が高く売れるので少しでも余分に返済することができます。
いずれにしても、売却してしまえばもう自宅に住むことはできなくなります。そして、売却代金で完済できなければ負債が残ったままになりますので、今後の支払いについても保証会社と相談することになります。
こうなってしまうと、せっかく買ったお気に入りの自宅も手放し、負債を抱え、個人信用情報にも記録が残ります。
住宅ローンの支払いを続ける個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)というのもありますが、住宅ローンの返済を続ける債務整理で裁判上の手続きを経ることになります。
返済ができない・・・そうなる前の対策
住宅ローンの返済で苦しい思いをしないように、借入する計画の時からライフプランをしっかり考えてからローンを組みます
返済口座の管理
何かがあっても滞納にならないようにしておきましょう。そのためにもできれば数ヶ月分くらいの返済額は返済口座においておきましょう。
ある程度口座に残しておくことは、生活のバロメーターになります。例えば、最初は3ヶ月分を口座に置いておいたのに、今は1.5ヶ月分しかない・・・なんてことであれば家計を見直す必要があります。
無駄な費用の見直しやファイナンシャルプランナーに相談するなど家計をチェックします。お金が底をつく前に・・・
返済のためのバックアップ
- 返済口座を給与振込口座に指定する
- 返済口座が総合口座なら定期預金をセットして万が一の残高不足の時に、総合口座貸越で引き落としができるように
ローンを組んだ時から始めにセットしておきましょう。ちなみに給与振込口座の指定ができれば、住宅ローンの金利優遇をしてもらえる金融機関がほとんどです。
返済用口座残高はギリギリにならないように余裕を持たせておきましょう。基本は「○○円以上をキープする」ということを意識しておきましょう。そうすることで、もし残高が下回ったらなぜそうなったのか「特別な事情で一時的に残高減ったのか?いつ回復できるのか」を検証することができます。残高が回復できず慢性的なものであれば、家計自体を見直しをする必要が出てきます。
住宅ローンの見直し
住宅ローンは借入後も繰り上げ返済や見直しを定期的にすることが大切です。長期の借入ですので、景気の動向や金融機関の顧客獲得競争・キャンペーンなどで、借り換えをするメリットも出てくるかもしれません。
借り換えについては、延滞すると受付してもらえませんので、払えなくなる前に対策する必要があります。
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