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失敗なく上手に住宅ローンの申込をする方法(その1)

住宅ローンと言っても、高額で長期の借金であることには変わりありません。
しかし、高額・長期の借金であるにもかかわらず計画が不十分なままローンの申込をしてしまうことが多いようです。ローンが通るということは返済は大丈夫なだろう・・・と考えてしまう人もいるようです。

実際、土地購入から注文住宅を建築する場合の相談も多いのですが、そういった相談のほとんどの場合、建物の建築計画&資金計画があいまいな場合が多いのです。

家を建てたい・住宅ローン組みたい人が銀行に来て相談をするのですが、実際に銀行の融資窓口でこれらの話になったとき、建物の建築について「今はあまり考えていない」、「土地を買ってから考えます」というのが少なくありませんでした。一般の人にとって不動産の購入は人生で数回あれば多い方ですからあまり経験がないため仕方がないのですが…

そして銀行員の融資課長時代、部下からもよく相談を受けました。
「こういった場合どのように話をすればいいのですか?」と・・・

住宅ローンの事前審査に必要なものとは

土地と建物について両方借入をしたい場合で土地が先行する場合でも、土地について重要事項説明書、建物のプランと見積を作ってきてもらうようにお願いをしています。

なぜなら、土地の借入分を審査をしても、建物の借入分の審査を同時にしないと意味がないからです。

つまり、土地で借入2,000万円+建物で2,500万円=4,500万円の借入をしたいのに、もし3,500万円しか借入ができなければ、先に土地を買ってしまうと計画が狂ってしまうからです。

土地を買ってから「建物の資金計画が上手くいかないのでやっぱりやめます」とはいかないのです。

事前審査のタイミングはいつ?

事前審査の申込の時期についての記事(下記)を見つけました。
こちらの記事でも書いてあるので参考になります。
しかし、少し気になるところもありますので、もうちょっと書いておきたいと思います。

マネーの達人ではローンについて説明が分かりやすいのですが、読んでいて気になった事もあるので、もう少し解説をしたいと思います。

土地申込前に事前審査を1度済ませておく

マネーの達人より

確かに、土地の購入に際し、事前審査を済ませておけば売主に対して信頼が得られることは確かです。特に購入希望者が複数いる場合には有利に展開できそうです。

しかし、住宅ローンの事前審査の手続きは買主サイドの意向のみでは、そう簡単に進められるものでもありません。事前であればある程度は簡易的な審査で方向性を定めることが可能です。そういう意味では、自分で全部調査し書類を整えることができれば、金融機関に事前審査申込をすることが可能ではあります。

もう少し具体的に説明をすると、年収や勤務先情報など本人に関するものはもちろんのことですが、不動産に関する資料の提出も必要なのです。特に重要事項説明書の記載事項は審査上不可欠なものとなります。なぜなら担保不適格な物件であれば、住宅ローンの審査は下りないのです。事前審査の段階において、重要事項説明書が提出できないのであれば、それに準じて調査したものを提出する必要があります。

通常は、仲介業者などが土地を調査し買主に対して説明を行うものです。買主が自分で重要事項説明書に準じて調査するとなると、かなりの労力となります。役所等に行ってひとつひとつ調査する必要があるからです。もし調査漏れがあってその内容が住宅ローン審査に影響する要因であれば、たとえ事前審査が下りていても本審査で否決となる事もあります。

さらに、土地の売買価格はいくらなのか、そのうち借入をいくら希望しているのかなども大切なポイントですので、売買契約書や買付証明が必要となってきます。

これらの情報に加えて、新築建物を計画しているのなら見積もり(請負契約書)や図面などが必要となります。(最終的には建築確認申請が下りている事の確認が建物資金の融資取組時には必要になります)

審査結果が先か、売買契約が先か?

「住宅ローンの審査が通っていないのに、売買契約を結んで大丈夫なの?」
「売買契約をして、住宅ローンの審査が通らなかったらどうなるの?」
とそんな声が聞こえてきそうです。

売買契約を結んで、もし住宅ローンが通らなかったら・・・なんとしてでも不動産を買うかORペナルティとして手付金没収で売買契約をキャンセルしないといけないのでは・・・と不安になるかも知れません。

でも実際は、不動産の購入に際して住宅ローンなど金融機関から借入を行うことが前提である場合には、特約を結ぶことが多いのです。(条件付きの契約。住宅ローン特約とも言います)

住宅ローン特約という条件付きの売買契約とは

これは金融機関の融資承認が下りたら売買契約が有効となる契約です。
つまり、融資承認が得られない場合には、契約は白紙撤回となり手付金は返還されるというものです。

この特約を結んでおくことで、事前審査をする際には契約書を入手することができますし、万が一ローンが下りず不動産を購入することができなくなっても、契約は白紙になり、手付金は戻ってくるのです。

売買契約書を結ぶことの効果

さらには、この契約により複数の購入希望者がいても、あなたは1番手として一旦は順番をキープすることが可能なのです。

一般的には売買契約書は同時に複数の買主と交わすことはないと考えられます。
なぜなら、買主が住宅ローン特約により審査が下りて契約が有効となったときに、もし、他の人も同じように契約が有効になってしまった場合には、売主側の都合で一方の売買契約を破棄せざるを得ないことになります(売却予定の不動産を他の人に売ってしまったため引き渡すことができない)。手付金を倍返しする必要が発生してしまうのです。

ですから、特別な契約をしない限り、売買契約は複数同時に交わすことはまずないと考えられるのです。

これらのことから、売買契約書・重要事項説明書は通常は入手することが可能であると考えられます。もちろん、事前審査の段階では売買契約書・重要事項説明書のひな形でも審査は可能ですし、記載内容によっては物件の概要説明書のようなものでも可能ですが、記載内容が薄いほど本審査でひっくり返る可能性もあるということになります(仮にローンが下りても契約を結んでいなければ、売主側からキャンセルされることもあり得ます。)

また、こういった書類が入手しにくい(売買契約をしてくれない)となると売主や仲介業者などがあまり協力的でないとも考えられます。特別な事情があって書類を作ってくれなければ仕方がないかも知れませんが、重要事項の説明がなく書類の交付がないのはリスクがあります。事前審査の段階でやむを得ないのならせめて重要事項の説明を受け、説明書はひな形でももらうようにし、売買契約の代わりに買付証明を提出するようにしておきましょう。

住宅ローン特約の例外

住宅ローン特約があるからと言って、金融機関への書類の提出が遅くなったり、金融機関からの依頼に対応しない・虚偽の内容での審査申込など不誠実な対応によって審査が下りない場合には住宅ローン特約が使えない場合があります。

通常誠実に対応していたら、特約が使えないという事態は起こらないと思います。

個人間の不動産売買について

もし個人間売買で仲介業者が入らない場合は、重要事項の説明義務がないため当事者間の売買契約だけになることは考えられます。しかし、住宅ローンとして個人間売買を認めていない金融機関もあります。

仲介業者が間に入らないためその分の手数料を節約することができますが、その分不動産について自分で調べる必要があります。「そんなことがあるのを事前に知っていたら、この不動産は買わなかったのに!」と言っても手遅れなのです。

そんなことにならないように、手数料がかかっても不動産仲介業者に間に入ってもらう事をお勧めします。

事前審査の申込金融機関は最大何件までOK?

事前審査を申し込む金融機関は最大でも3行までに留めておく

マネーの達人より

私個人の意見になりますが、複数同時に事前審査を依頼することはお勧めできません。特別審査を急いでいるなどがある場合はやむを得ないのかも知れませんが、基本はまず1行に絞るべきです。

もし複数の金融機関に事前審査を申込するのならどうすれば良いのか、失敗なく上手に住宅ローンの申込をする方法(その2)を別のページで紹介したいと思います。

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