新型コロナウイルスが蔓延し、この状態がしばらく続きそうです。経済や株価にも影響が出始めています。今後もいろいろな所で影響が出てきそうです。そして住宅ローンに関しても以下のような記事を見つけましたので、少し書いておきたいと思います。
新型コロナで倒産・収入減…「住宅ローン難民」が増加する可能性
新型コロナウイルスによる混乱が実態経済にも影響を与え始めている。
愛知県では、中国からの観光客をメインにしていたホテルが倒産するなど、観光、飲食業だけではなく、製造業などにも不安が広がっている。
倒産やリストラに拍車がかかれば、収入が途絶えて、住宅ローンの返済が困難になる人たちが増えてくるのではないだろうか。(マネー現代より)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70675
もし本当に住宅ローンの返済ができなくなれば、残念ですが自宅を手放さないといけないことになります。
その前に返済を見直すことは大切なことなのですが・・・
返済方法を見直すには、順番がある
住宅ローンを見直すには大きく3つの方法があります
- 返済条件の見直し
- 借り換え
- 金利の見直し
の3つです。どれも毎月の返済を見直す方法ですが、どれを優先して見直しの検討をするのがいいかわかりますか?
返済方法を見直す順番を間違えると、他の見直しをするのが困難になります。
なぜなら、それぞれの性質とその効果が異なるからです。
住宅ローンの見直し3種類について説明
それぞれの性質とその効果について説明します
1.返済条件の見直し
上記の記事にもあった様に、返済の期限を延ばしたり、一時的に返済額を軽減する方法です。
- 返済期間の延長(借入期間を10年延ばし返済額を軽減等)
- 一定期間の返済額の軽減(1年間返済額を半分にする等)
これらの方法はもちろん返済額を軽減して、支払いができない状態を回避して返済できる額で支払いを続ける方法です。
この返済方法は、すでに終了している金融円滑化法に準じて、できる限り返済を支援していく方法で見直しをするものです。
返済ができなくなったり、返済条件を緩和することは銀行にとっては不良債権になってしまうのです。
毎月きっちり返済している融資は正常債権なのですが、返済条件を緩和(一時的に返済額を軽減して後にしわ寄せをした貸出、当初の契約よりも返済期間を延長した貸出)は不良債権として、正常な資産(貸出)とされていません。
銀行は不良債権処理に苦しんだこともあり、簡単には返済条件の見直しを行うことはできませんでした。(返済ができない融資先をいつまでも返済条件の見直しを行なって「不良債権ではない」と言い続けて正常な資産(貸出)としていると銀行の資産(貸出)が劣化する可能性があるので、銀行は厳しくチェックを受けているのです。
リーマンショック以降、景気が悪化したこともあり金融円滑化法により、実現可能性の高い再建計画であれば返済条件を見直しても不良債権とはならないとされたので、銀行は貸出先に対して再建計画に基づいたチェックとコンサルティングにより返済の支援をしてきました。
住宅ローンについてもこれに準じて、返済計画や家計の見直しを基に、返済方法の見直しをすることもあります。が、できない場合もあります。
- 団体信用生命保険(団信)よりも借入期間が長くなってしまう
- 家計の見直しが不適切(実現可能性が低い)
- 保証会社による審査でNOの場合(延滞が常習など)
また、住宅ローンだけではなく他の借り入れ(マイカーローンや教育ローンなど)の返済を見直すことを要請される場合もあります。
なぜなら、他の返済をきっちりするために、住宅ローンだけ返済を見直すことになるからです。つまり「マイカーローンや教育ローン、カードローンなどの借り入れはちゃんと返すので、住宅ローンだけ待ってください」と言っているようなものなのです。
「他の金融機関の借り入れは支払うけど、お宅の住宅ローンだけは待ってください」となると、そうはいかないでしょう・・・なので全部の借り入れについて見直しをするのであれば、いいですよということにもなる可能性もあります。
2.借り換え
他のページでも紹介していますが、「借り換え」とは他の銀行へ住宅ローンを借りなおすことです。
新しい住宅ローンに組み直すことで金利の見直しや返済方法を変えます。金利負担が改善されるので、スタンダードな見直し方法です。
手続きが手間なのがネックとなるのですが、それを軽減する方法もあります。以下のページで紹介していますので、参考にしてみてください。
3.金利の見直し
金融機関を変えずに(借り換えをしないで)金利のみを引下げしてもらう方法です。借り換えの負担を考えるとこちらの方が手間が少ないです。
しかし、かなりの交渉が必要となるのでハードルは高いです。
想像してみてください。銀行へ行って「金利が高いので、下げてください」と言っても簡単には下げてくれないでしょう。
なぜなら、もともと当初の契約に基づいて金利を決めていますし、給与振込、公共料金、定期預金、クレジットカードなど金利優遇の条件を満たした分で金利引き下げをしているので、条件を満たさずに金利を引き下げることは他の住宅ローンの顧客とのバランスが取れないのです。
もし、交渉が上手くいって金利の引き下げができても、返済額の見直しにはならないことがほとんどです。
なぜなら、ほとんどの住宅ローンは変動金利なのですが、金利見直しのルールと返済額見直しのルールがあります。返済額自体の見直しは5年サイクルとなっているので、タイミングによっては金利が変わっても返済額が変わらないということになります。
変動金利の見直しルールについては、以下のページを参照してください。
見直す順番を間違えると厄介なことに・・・
見直しと言っても性質が異なるので、手続きを間違うと面倒なことになります。「1.返済条件の見直し」これだけは「リスケジュール(リスケ)」といって返済が困難な人が行うためのものなのです。
ですから、緊急性が高い場合はもはや仕方がないと思います。払えなくなるよりはマシですから・・・
しかし、このリスケジュール(リスケ)をしてしまうと他の銀行への借り換えや金利の見直しが困難になります。
リスケジュール(リスケ)で返済期間を延ばす、一年間だけ返済を軽くするなどをしてしまうと、その状況で他の金融機関で住宅ローンの借りなおしをするのですから、難しいものになります。
では、金利の引き下げはどうでしょうか・・・
リスケジュール(リスケ)で返済の見直しを譲歩しているのですから、さらに金利の引き下げは難しいものになります。
まとめると・・・
- リスケジュール(リスケ)は返済が困難な人のためのもの。
- 借り換えと金利引き下げは、返済が良好な人が行うもの。
性質が異なるので、「もう払えない」という緊急の状況でなければ、まず先に借り換えを検討します。検討する中で、メリットが出ないなどであれば金利の引き下げの交渉を行います。そして、最後の手段としてリスケジュール(リスケ)という手順を踏むべきなのです。
今後の返済が不安だからと言って先にリスケジュール(リスケ)をしてしまうと借り換えや金利の引き下げが困難になります。つまり金利が下がらないまま返済方法だけを変えるので、金利負担が大きいのです。
順番を間違えると今後金利の引き下げや借り換えが難しくなるということです。そしてリスケジュール(リスケ)自体は根本的な返済負担の見直しではなく、緊急手段なので注意が必要なのです。
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